株の窓口THE相場勘 ~今後のリスクについて~

本日の日経平均は、昨晩の米国の動きを受けてプラス圏で引けたものの、一日のチャートを見ると右下がりの寄り天。このまま年末に向けて上昇するのか、一押しするのか・・・
ハッキリとした方向感が見えない相場が続いていますね。

投資助言の仕事がら「どう言う人が株式投資に向いているの?」と質問されることがあります。
分析力に長けた人、勢いに乗るのが上手い人・・・正解は色々あると思いますが、私の答えは、「グローバルな視点で物事を見れる、リスク管理能力の高い人」です。

日本の市場は他の国に比べて、海外要因に左右されがちな特質があります。その分、自国のことのみならず、世界情勢、リスク要因を把握して動くことが求められ、それらを把握して動くことで大きな痛手を受けにくいと考えているからです。

ずっと市場を見張っていられない人が急騰・急落するような銘柄を売買することも一つのリスクと言えるでしょうし、長期保有で銘柄を売買される方も大きな流れを無視して売買することもリスクの一つと言えると思います。

そこで、今後注目すべきリスクになりそうな内容をまとめてみました。

・イタリア銀行問題は未解決
国民投票が否決となり、レンツィ首相が5日、辞任を表明しました。労働市場や銀行の改革を進めてきたレンツィ氏が退場することで今後の経済政策が不透明になっています。
約3600億ユーロ(約43兆円)もの銀行・不良債権処理を急務とされていますが、大手銀行の増資計画の実現も危ぶまれています。ECB理事会メンバー・ノボトニー中銀総裁が「銀行システムの問題ではないし、いかなる問題も管理可能」との認識を示したことで現在は、楽観視されているようですが問題自体の解決はしていません。

・英国EU離脱問題
今年の6月、英国EU離脱(ブレグジット)決定後、日本市場も大きく荒れたのは皆さんの記憶に新しいのではないでしょうか。薄らいでいましたが、まだ解決はしていません。
メイ首相は欧州連合(EU)離脱の正式な手続きを2017年3月末までに開始するとしていますが、離脱強硬派をなだめる為に、どこまでの移民抑制策を取るか、EU単一市場に残留するか不明です。

・ECBの金融緩和について
ブレグジットの国民投票以降、投資家の間では「財政政策を緩める」との期待が高まっていますが、ECBは緩和をするのでしょうか。(詳しくは昨日の「THE相場勘」をご覧下さい。参照;12月5日「株の窓口THE相場勘」)

・トランプ次期米政権とブレグジットの新たな不確定要素
トランプ氏が英国との関係を優先し、離脱が容易になると予想する人もいますが、選挙期間中に、NAFTA(米自由貿易協定)の見直しを公言してきたトランプ氏が次期米政権を握ることになり、ブレグジットを懸念している人々の間で不透明感が高まっているとの見方があります。NAFTAはEUに次ぐ巨大経済圏であり、このNAFTAの見直しは「自由な市場アクセスのないハード・ブレグジットに似ている」とも言われています。NAFTAで米市場に照準を合わせている世界各国は、生産ネットワークやサプライチェーンが分断される可能性があるということです。
トランプ氏は当選後は、NAFTAについての言及を封印していますが、経済に影響を与える大きな不確定要素と言えるでしょう。

・来年のヨーロッパでの選挙
3月にはオランダ総選挙、4月にはフランス大統領選挙、10月までにはドイツ連邦議会選挙が予定されており、4月にはギリシャの債務問題もあります。
周辺国に及ぶ可能性を頭に入れておいた方が良さそうです。

可能性や報道を信じて投資を行うのも一つの手法かもしれませんが、株の窓口ではリスクは出来るだけ回避した、ゆったりとした資産運用を目的としています。
大きな世界の動きに巻き込まれてしまった時には取り返しのつかないことになることも・・・

リスク要因、ぜひ頭に入れておいて下さい。