株の窓口THE相場勘 ~利上げとマーケットとの関係~

昨晩米国では、約1年ぶりの利上げが決定し、2017年度の利上げペースについて従来予想は2回でしたが、3回と発表されました。

マーケットを見る上で、利上げは悪材料になるのか?
そもそも、景気が良ければ利上げをするし、景気が悪ければ利上げは見送られます。このことは2016年の米国の流れを見てきた方は十分理解されていると思います。
今年に入ってからFOMC開催の度に、「利上げする・しない」について米国地区連銀総裁の見方が報道でとり立たされていましたが、結局のところ、今年に入っての利上げは12月の1度だけでした。

利上げをするということは、それだけ経済が良くなっている証なのです。

では何故これまでは「利上げ」に注目していたのか・・・
オバマ政権の8年間、金融危機があってから、財政を何も出せない状態にありました。その為、マーケットの焦点となるものが「利上げ」しかなかった・・・と言うことかもしれません。
トランプ政権では、財政を積極的に行っていくことが出来るので、来年からは金融政策における「利上げ」に対する注目度は下がっていく可能性があるのではないでしょうか。

実際に昨晩のイエレンFRB議長会見でも、「米国の雇用情勢は、完全雇用に近づいている」と言っていました。これは米国経済の強さを表していると取れるでしょうし、利上げをすることは、景気が良いことの表れでもありますので、景気が良いのに株が下がる必要はなく、決してマイナス材料ではないのです。

現在の米国マーケットは
・景気が良いので「金利が上がる」→ 現在、世界中の動きを見て金利を上げられる国は他にないことも含め、正しい動き
・米国経済が良好なので「ドル高になる」→ 正しい動き
・米国市場の「上昇ピッチが早い」→ 通常リスクプレミアム(※)が調整される時には、スピードがついてしまうものなので、正しい動き
となっています。

上記の3点は、現在の世界情勢と米国の情勢を見れば、起こるべきして起こっている内容だと思いますが、気になるのは為替の動き。金利の上昇は良いことではありますが、為替(ドル高)の上昇ピッチが、金利の上昇を上回るスピードで起きています。
理由として考えられるのは、為替市場がデバイスをかけている可能性があるかもしれません。実際の金額よりも数倍もの取引をしていて、このことで、金利が少し上がるだけでドルが急上昇している可能性が考えられます。

現在、株式市場は為替の動きに注目しています。
急激なドル高(オーバーシュート)は、大型株に影響をおよぼし、株の動きにブレーキをかけてしまいます。為替にらみの相場が続くかもしれませんね。

(※)リスクプレミアム;リスクプレミアムとは、株式投資などリスクのある投資に対して、投資家がそのリスク分に対して求める超過収益のこと。リスクに応じて期待する上乗せ収益とも言い換えることがでます。