株の窓口THE相場勘 ~マイナス金利政策と物価上昇について~

今週の日本は決算ウィーク。続々と決算が発表されており、為替の動きをにらみながら個々の業績を見極める動きになっています。トランプ大統領の「日本と中国の為替操作・・・」と言う発言は気になるところでありつつ、長い目で見ると米国の経済政策に期待もあり、押し目は拾いたい投資家心理が働いているようです。

決算で個別銘柄を注視するのはもちろんですが、日本の今後はどうでしょう。昨日の日銀政策決定会合では、
・長短金利とも操作目標を据え置き。
・上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J─REIT)など資産の買い入れ額も維持。
・物価が目標の2%に達する時期は「2018年度ごろ」に据え置き。
との内容になりました。黒田日銀総裁は、マイナス金利政策に対しても自信をしめしているとのこと。

日本はデフレから脱却するために「物価目標2%達成」を目指しているわけですが、米・プリンストン大のクリストファー・シムズ教授(2011年にノーベル経済学賞を受賞した米経済学者で『ゼロ金利成約下では金融政策のみでは物価コントロールができず、財政政策が重要な機能を果たす』という内容の公演を行い世界的に注目を集めた人物)が現在来日中で、インタビューに以下のように答えています。
・ゼロ金利制約下では金融政策が機能しないため、財政政策と金融政策が連携するのが望ましい。
・2%の物価目標を達成するまで、消費税率引き上げのような財政緊縮策は取るべきでない。
・アベノミクスは2014年の消費増税がなければ、もっとうまくいっていた。
・20年間のデフレから脱却するために財政政策を物価目標の達成と連関付けるべきだ。
・財政拡大とは、単に支出を増やすということではなく、人々に債務の一部は物価上昇で相殺されるとの期待を認識させることだ。
・日本政府が2020年度の達成を掲げる基礎的財政収支黒字化は、大切だが、2%インフレ目標の達成を優先すべき。
・2%の物価目標達成まで利上げは望ましくない。
・消費増税が遅れることなどで、急激なインフレが起こる可能性については米国ではボルカー議長時代のFRBによる利上げの経験から、中銀の物価コントロール力が知られており、急激なインフレは起こらないだろう。
・むしろ物価上昇が、なかなか実現しないことが問題。

クリストファー・シムズ教授の見解が全てではないとは思いますが、2014年の消費増税が日本国民の財布の紐をきつく締めているひとつの要因だとは思います。

来週にはトランプ大統領の予算教書演説、トランプ大統領と安倍首相の会談など注目イベントもありますので、日本の政策と米国の政策で大きな流れを見つつ、個別を見て行きたいですね。