株の窓口THE相場勘 ~マイナス金利決定から1年~

本日は週末の米国GDPが予想を下回ったことや、為替が円高方向動いたことから日経平均は軟調に推移しました。また、三井住友(8316)の決算は、トップライン収益強化に向けた経費投入やマイナス金利の影響が重石となり、市場予想を上回ったものの、利食い優勢の結果となりました。

昨日29日で、日銀がマイナス金利(※)の導入を決めて1年。マイナス金利を受けて結果はと言うと・・・

■良くなった点
・金利の低下から住宅ローンの借り換えが急増
・企業が資金を調達するために社債を発行する動きが活発化

■悪くなった点
・企業投資や個人消費は活性化せず
・消費者物価の上昇率は先月まで10ヶ月連続マイナス圏内
・日銀の想定以上に金利が低下し、地方銀行や金融機関の収益が圧迫された
・個人や企業の資産運用が難しくなった
・資産運用が難しくなった保険会社が一部の保険商品の販売をとりやめた

国債は買われて価格が上昇すると利回りが低下します。マイナス金利政策の決定を受けて、国際市場では利回りがプラスのうちに日本国債を買う動きが強まりました。
これにより、日本の10年国債の利回りは低下。昨年はブレグジットなどもあり、更に投資家の間で安全資産として日本の国債を買う動きが強まり、昨年7月には長期金利0.3%と日銀の想定を超える水準まで低下する結果となりました。
当初、マイナス金利政策に対し黒田日銀総裁は政策の効果に強い自信を持っていましたが、想定以上の金利低下を抑える為、新たに長期金利誘導目標を設ける枠組みを決めマイナス金利政策に修正を迫られた形となっています。

金利が下がっても、今の日本の経済状況では「家計や企業が借金を増やそうとは思っていない」というのが実情と言うことでしょうか。日本の物価が上昇しないのも、慎重派な日本人はお給料が上がり、日本の経済に自信を持てる環境にならないと・・・ということもあるでしょう。本日、明日で行われる日銀政策決定会合で、マイナス金利の見直しもあるのでしょうか。
決算発表での個々の動きも気になりますが、黒田日銀総裁の発言にも注目です。
(※)マイナス金利;日銀が金融機関から預かる当座預金の一部に適用する金利をマイナスにして、手数料を取る形にすることで金利全般を押し下げるとともに、金融機関に貸し出しを強く促す政策のこと