株の窓口THE相場勘 ~米国・減税法案について~

昨晩ようやく米国の減税法案の詳細がしめされました。
以前、ホワイトハウスから税制案の骨格が出たことがありましたので、今回で2回目。
内容としては、今回の方が民主党の理解も得られるような内容だったと思います。

簡素化と言う事で、7段階から3段階に。
最低税率は10%から12%に。
一見これを見ると弱者に対する課税が強まるようにも思えますが、基礎控除が倍になるので、実施的に減税になる形です。

その他にも民主党の好みそうな
・住宅ローン控除
・教育費
・子供のいる家庭への補助
・最高税率についても現在米国は39.6%ですが、35%までの低下
など、かなり民主党に配慮した形の内容もありました。

また、企業が海外に持っているお金を米国内に送金する際は、非課税にとの内容もありました。これが為替に与える影響に関してですが、実際にこの案が通れば、ドル買い要因となると一般的には見られていますが、一方では、実質金利的には既に行き過ぎているとの見方もあります。

今回最も注目したのは『パス・スルー減税』。
パス・スルーはこれまで39.6%だったのを25%にとなっています。パススルー企業と言うのは個人事業主やパートナーシップのことで、上場している会社ではありませんが、米企業の95%を占めています。その為、実は今回の目玉の減税案だと思います。

もしこの法案が本当に通って、実現に移されれば、米国の成長率は2%ではすまないでしょうし、成長率が3%になった時に、債券の投資家が3%で我慢するかと言えば、あり得ないと思いますし、長期債利回りは3%に近づくと思いますが、このまま全てが通るとは思えないので、マーケットでは半信半疑の中、金利が上がってきている状況なのではないでしょうか。

減税法案が提示されたにも関わらず、米国の上昇が大したことなかったと言うのはマーケットの大半がこのまま減税法案が通るのは難しく、特に年内に成立させるのは難しいということの表れなのかもしれません。

オバマケア改廃案についても断念したところで、素晴らしい減税案ではありますが、そのまま通るのには懸念が大きいというところでしょうか。

ですが、方向感を示されたことについては好材料でありますし、やはりもう暫くワシントンの動向に左右される相場が続くのかもしれません。