株の窓口THE相場勘 ~NAFTA・メキシコとの再交渉の行方~

週末のトランプ大統領の就任演説を受けて、NYダウはプラスで終わったのも束の間、演説終了とほぼ同時にホワイトハウスの発表を受けて為替は円高方向へ・・・

演説でもTwitterでも言っている「BUY AMERICAN」(アメリカ製品を買いなさい)という言葉が気になります。ホワイトハウスの発表でもTPPの完全撤退を発表していますし、NAFTAの再交渉を進める方針や、カナダとメキシコが再交渉に応じなければ、NAFTA離脱とまで発表しています。

一般教書演説までは、どういった政策を出してくるのか具体的なことは分からないまでも、トランプ大統領が「米国第一主義・保護主義」なのがハッキリしました。まずはメキシコとの交渉を見極める必要がありそうですね。

トランプ大統領は、「メキシコに工場を移転すれば、メキシコからの輸入品に35%の関税をかける」と言っていました。米国のメキシコ向け貿易赤字の額は2015年で606億ドル。これは米国の貿易赤字のうち8.1%になります。(日本は9.2%)

この数字とトランプ大統領の関税に関する発言のみに着目すると、メキシコに関連する銘柄は、今後どうなってしまうのかと不安になる方も多いのではないでしょうか。

ですが、逆に米国からメキシコに輸出している流れを見て見るとメキシコへの輸出は米国にとって15.7%と割合が高く、カナダに次いで2位の輸出先なのです。(2015年調べ)
トランプ大統領が公言どおり、35%の関税をかけることでメキシコと交渉するとなれば、メキシコも同じように関税をかけてくると考えて良いのではないでしょうか。メキシコがトランプ大統領に対し、YES MANとなり、提案を素直に受け入れるとは考えがたく、そうなるとNAFTA再交渉は難航する可能性があると思います。

トランプ大統領が選挙で当選して以来、トランプ大統領がメキシコに対して発言する都度、メキシコ・ペソ安が進み、1ドル21ペソと2015年15ペソを付けた時と比べて40%下落しています。ペソ安な分、輸出税が多少であれば上がったとしても、メキシコは対処可能かとも思います。ですが、日本の円安を考えて頂ければ分かると思いますが、自国の通貨が安くなることは輸入品の物価上昇につながる可能性が高く、国内消費が抑えられてしまう可能性は避けられません。

特にメキシコは米国に移民している人が多く、移民からの送金で生計を立てている人が多いのも否めません。移民問題を絡めて見ると、NAFTAの再交渉で米国・メキシコがどのような結論をだすのか気になってしかたありません。

TPPを完全撤廃した今、日本は米国と2国間協定を結ぶ方向に進むのでしょうが、米国の貿易赤字の9.2%の原因は日本でメキシコよりも比率が高いこと、また米国から日本への輸出は4.2%とメキシコの1/3以下であることを考えると、メキシコよりも日本は分が悪いと思うのは私だけでしょうか・・・

まずはトランプ大統領とメキシコとの交渉を見つめつつ、日本がどのような対策を掲げてくるのか・・・
波乱の幕開け・・・にならないことを祈ります。