株の窓口THE相場勘 ~WTI価格下落について~

昨晩の米国市場では次々と懸念材料が出る中、いち早くしっかりとした動きとなりました。

北朝鮮のミサイル発射が、米国にとって懸念が高まるようなミサイルの発射でなかったこともあり、トランプ大統領が過激な反応を見せるのではという点が懸念としてはあったのかもしれませんが、ホワイトハウスの反応が冷静であったということもあり、夜間時間帯で大きく売られた分、反動で買い戻しが見られました。

北朝鮮リスクを切り離して見ると、これまでの注目点はジャクソンホール会合でしたが、昨日も米国長期金利が大幅な低下傾向にあります。ジャクソンホール会合の内容を振り返ると、イエレンFRB議長からマーケットの求めているものが出てこなかったことから、肩透かしに終わった形となりました。状況に先行き不透明感が多く、イエレンFRB議長も具体的な方針を示すことが出来なかったというマーケットの見方が強まったのかと思います。

9月にもバランスシートの縮小を開始し、その後も想定通りに景気やインフレが回復すれば、年内に追加利上げを行うという、これまで言っていた基本方針を発表することが出来なかった、つまりは、マーケットの周囲にはリスクが高まっていて、インフレの低迷という問題が予想以上に重石になっているのではないかという先行き不透明感が長期金利の低下につながり、思ったとおりの金融引き締めがこれ以上できないのではないかとの見方が強まった結果なのかもしれません。

ハリケーン『ハービー』に関しては、一度上陸した後、もう一度メキシコ湾に南下し、勢力を強めて再度上陸しようとしているので、更に被害が拡大する可能性があります。
これによる原油市場への影響ですが、昔であればメキシコ湾の海上油田の閉鎖による生産停止と言うことが一番に取り上げられることが多かったのですが、最近では米国シェールの生産が増えており、メキシコ油田の割合が小さくなってきていることもあり、買い材料視はされていないようです。
一方でテキサス州には大規模な製油所が多くありますから、稼動停止したことで、ガソリンに関しては供給不安が生じましたが、原油に関しては、製油所が停止した為、原油が消費されなくなった。そして周辺の都市機能が洪水により麻痺し、停電もあったでしょうから需要が一時的にせよ落ちたことで、原油市場に弱気な影響を与えているようです。