株の窓口THE相場勘 ~米利上げの期待~

今晩からのFOMCを前に日経平均は膠着間の強い相場が続いています。今や焦点は利上げ回数だとも言われていますが、米国利上げが実施されることで米金利上昇となれば、米株が調整局面に入ってもドル高円安が日本株を支えるとの見方があり、FOMCの結論を見極めたいということからのようです。

では本当に利上げが行われると日本株にとって追い風となるのでしょうか。
過去2回行われた米利上げの際、日本株のパフォーマンスはどうだったかと言うと、実際は米国株よりも悪かったのです。もちろんこれには様々な要因がありましたので、今回も当てはまるかと言うと、そうとも言えないのですが・・・
ただし、単純に米金利上昇だから円安!それならば日本株は上昇と考えるのはリスクがあると言わざるを得ないと思います。

確かに今回の米国金利上昇が決定されるのには景気回復の裏づけを見てとのことですので、「世界の景気敏感株」と言われる日本株には、景気拡大・リスクオンの円安も加わる
と見て良いでしょう。

では何故、過去2回の米国利上げ(2015年12月/2016年12月)後の日本株はパフォーマンスが良くなかったのか。
1回目の米株と日本株の動きを比較すると、1ヵ月後はほぼ変わらず。ですが3ヶ月後にNYダウが1.5%安まで戻したのに対し、日本株は7.7%安でした。更に6ヵ月後にはNYダウはプラス転換していましたが、日本株は14.2%安と米株との差が広がりました。

2回目の米利上げ後の日本株は、1ヵ月後はほぼ変わらずでしたが、今年3月上旬までのパフォーマンスでは、NYダウは4.7%高なのに対し、日経平均はほぼ変わらずの状態です。

普段から米国の動きに一喜一憂しやすい日本株ですが、利上げ後の米株との差が出てきてしまう要因は、為替でしょう。
1回目の利上げの際は、新興国リスクが警戒され、リスクオフによる円高が進み、ドル円は半年で121円から106円にまでなりました。
2回目は日米金利差が拡大したにもかかわらず、115円付近での推移が続いていました。

では今回利上げが行われた後のリスクと考えられるのは、米株の動きだと思います。
過去2回の利上げと比べ、米国を含め世界経済は堅調ですので、今のマーケットは今月の利上げは織り込んでいるとの意見が大半です。一方で、米株のPERは19倍台後半となっており最近の株価の動きでも調整局面に入ったようにも見えます。

米国株が下落しても円安が進めば日本株は堅調に推移できるという見方をする方もいるかもしれませんが、外国人投資家の存在を無視できない日本株ですから、ドル円よりも米国株の動きに左右される場面が出てきてもおかしくないと思っています。

利上げ後、米国株が調整局面に入った時に、日本株は逆連動出来るのか・・・

今朝の時点で、当社が独自にデータをつけているNYダウ騰落レシオは140.584。東証一部の騰落レシオは123.689。どちらもマーケットの強さを表していると同時に、警戒域に
あるのも注意したいところです。