株の窓口THE相場勘 ~『FANG』上昇の理由~

昨晩の米国市場はNYダウが軟調な中、ナスダックが再び切り替えしてきました。
ナスダックの堅調さは総じて続いていますが、一時、トランプ大統領が選挙に当選するまでは「FANG」(FaceBook、Amazon、ネットフリックス、グーグル)のみが上昇し、他の金融やエネルギー等の銘柄が上昇しないという状態が続いていましたが、ここ数ヶ月は再度同じような動きが続いており、昨晩の米国の動きは、それを象徴するようなマーケットだったと思います。

他にも、昨晩はWTIが昨年来安値を更新中ということで、原油もしくは資源開発への意欲が削がれるのではないかとの懸念から、関連銘柄であるキャタピラーなどの下落が目立ちました。資源関連・原油関連・金融関連と言うNYダウ構成銘柄の主力株の弱さが、株価指数の弱さに反映されていると思います。

本当にマーケット全体が力強く上昇するのであれば、金融が上昇しなくてはならないところですが、原油価格を見ると50ドル以上は難しく、下はまだまだありそうなチャート形成をしています。米国のシェールの状況を加味すると、50ドル近くまで損益分岐点が下がってきており、チャートと動きが一致していることを考えると、原油価格の上昇は厳しいものがありそうです。

原油価格が下がると、期待インフレ率が下がり、金利が上がらなくなり、金融銘柄が下がるということが、過去に何度か起きていることなので、原油の下がりすぎと言うのは、これまでの経験からすると良くない状況と言えるのではないでしょうか。

一方、昨晩発表のあった『中古住宅販売件数』は予想に反して良かったことから、調整しそうで、調整せずと言うのが今の状況であり、金利は上昇しない状況下で、トランプ大統領が当選してから上昇し続けてきた調整がいつ来てもおかしくないにも関わらず耐えていると言えるでしょう。昨晩もエネルギー銘柄は下げていますが金融銘柄はまだ耐えている状況が続いています。

確かに、中古住宅販売件数は良かったのですが、ここ1ヶ月のうちに発表のあった、特に先行指標が総じて弱いので、リスクとしては、金利下げ方向=金融銘柄下げ方向=全体の株も調整方向だと思っていますが、良くても、このまま動かない相場が続く可能性があるということだと見ています。

その中でIT関連銘柄のみが上がってはいますが、この動き自体はマーケットを見る上で健全な動きではないと思います。ですが、今のIT革命と言うのは、第三次産業革命のような中にいるとも言えるでしょうから、ここから5年10年先を見越しての投資であれば、いずれ上昇することが予想できることから長期投資家が買い集めいてると言うことなのかもしれません。

IT関連銘柄の中心とも言えるAmazonに関して本日は考えてみようと思います。

そもそもAmazonの対象としている市場は、アップルやグーグルなどの対象としているマーケットとは別物であり、小売全体です。米国の消費者を相手にしているGDPの7割を占めており、世界経済を引っ張ってるとも言える市場がAmazonのターゲットなのです。
米国のGDPは世界の25%強を占めており、そのうちの7割が個人消費と言うことですので、世界のGDPの14~15%を米国の個人消費が占めているという事で、これは中国のGDPをも上まわるとの声もあり、Amazonが対象とするマーケットはとてつもない大きなものだと言えるでしょう。
米国の消費の規模は10兆ドルを上回っており、これからも人口は伸び、経済も前進すると考えれば、更に大きな規模になることが容易に考えられるので、最終的に行き着く先を見れば、安心して投資できる銘柄と言えると思います。

このことを理解されている長期投資家が多いことがAmazonを筆頭とした『FANG』が米国市場で上昇を続けている理由なのだと思います。