株の窓口THE相場勘 ~バーナンキ・ショックと同じ動きになるか?!~

昨晩の米国株式市場は、寄付きから売りが先行する展開で、ハイテク株は価格調整が強く、ヨーロッパ時間にドラギ総裁がタカ派発言をしたことで、ヨーロッパ債券が下落、それにつれて米国も債券が下落し、長期金利が上昇したことが重しになったほか、IMFが米国の経済見通しを4月時点から引き下げたこと、またオバマケア代替案の採決を独立記念日以降に先送りしたことなどを嫌気し、売り圧力が強まった形でした。

昨晩のうちで、今後のマーケットを見る上で、注意しておきたいのがECBドラギ総裁の発言についてです。

ドラギ総裁が発言した内容で特に注目なのが、『デフレ圧力がリフレ圧力(意図的なインフレ圧力)へと変わった』と述べたこと。
これまではデフレ圧力(物価下落圧力)が欧州圏では強く、それを払拭する為に金融緩和策を続けてきたが、デフレ圧力が後退してきているとの見方を示したことから、早ければ秋にも金融緩和策をやめて、徐々に引き締めてくるのではないかという見方がマーケットに広まりました。

マーケットは大きな変化に反応するものですから、既にFRBの利上げは織り込み済みであり、むしろ利上げペースに関しては懸念が広がる中、一方でECBはこれから引き締めを始めると言う事ですから、FRBで例えると、バーナンキ議長がテーパリングを始める意思を示したバーナンキショック(※)のようなインパクトが市場にはあったのかもしれません。
FRBに比べると、ECBのマーケットへの影響力は小さいものの、今回のドラギ総裁発言は、かなりのインパクトがあるものと見ておいた方が良いかもしれません。
ユーロ高、ヨーロッパを中心とした金利の上昇が、これからの注目材料になりそうです。

大きく動きを見せたのがユーロの急上昇。これを受けてWTIは4日続伸。
世界的にサイバー攻撃があったと伝えられたことで、ロシアの国営石油や海運大手が攻撃を受けて被害が出たとの報道により、石油供給に支障が出るのではないかとの見方から
買いが集まりましたが、米国マーケット引け後に、発表された民間の原油在庫統計で予想外の積み増しになったと言うことですから、需給見通しは引き続き弱気だと言えるでしょう。

※バーナンキ・ショック;2013年5月~6月、当時FRB議長ベン・バーナンキ氏の発言により起こった世界的な金融市場の混乱。
2013年5月22日に、バーナンキ議長が『テーパリング』の可能性を示唆したことを受けた翌日の日経平均は1143円安しました。