株の窓口THE相場勘 ~マーケットは調整機関に突入~

FOMCの結果が出ましたが、読み筋どおりの結果だったと思います。今月の利上げ確率は一時期100%で取引されていたこともありましたので、予想通りの結果でしたが、本当は今月は見送ったほうが良いと私は見ていましたが、ここまでマーケットに利上げが織り込まれていたのを考えると、やらないことでショックが走る可能性が高かったと思うと、今回の決定はやむを得なかったのかもしれませんね。

利上げ、資産圧縮の方向性を明確に出したにも関わらず10年債利回りが下がり、今年最低の水準、2.12%にまで下がってきています。
この動きは、マーケットが今回の利上げは適切ではないと見ているにも関わらず、FRBが利上げを決定したことを表していると思います。特に、昨晩のFRBの決定を前に発表のあった5月消費者物価指数は予想0のところ-0.1、コアについても前年同月比+1.7で、過去10年平均の1.8をも下回っています。
ですが昨晩の発表だけではなく、先行性の高い指標は、ここ1ヶ月、予想を下回ってきていますし、2月3月以降は期待インフレ率がずっと下がってきており、今や1.6%しかありません。一時、期待インフレ率は2.3%まで上がっていたので、その状況下で3月や昨年の利上げと言うのは納得がいきますが、原油価格が下がってきて、経済指標も弱くなってきており、この状況下で夏までに税制改革を行うということが絶望的である中、今回の利上げを決定したことは、後々、後悔する結果になる利上げであったと言うことは、債券市場が明確に意思表示していると言うことなのではないでしょうか。

債券市場は今年の最低水準です。
振り返って見ると、大統領選挙があり、その時の10債利回りが1.8%、トランプ大統領が選出され、期待感で2.6%まで上昇しましたが、そこからは一貫して下落。本日の時点では2.1%までつけています。
それと同時に金利と同じような動きをしていたのが金融株。トランプ相場を牽引していたのが金融株であり、金利が下がると金融株、つまりはトランプ相場のリード役が下がると言うことなので、今後このことがマーケットに現れてくるのではないでしょうか。

ただ今日の米国の金融株はしっかり、IT関連株が弱かったのですが、これに関して、IT関連株に回っていた資金が、金利上昇の流れの中で徐々に減少していくというマーケットでの声もありますが、マーケットは、金利の下げが、マーケットの下げ要因になるという理解を
していないという事でしょう。
ですが、金利と金融株は同じ動きをしていますので、これから出てくるのではないでしょうか。

米国の景気が冴えないのは何に原因があるのか。
これまで景気が良かった要因は、トランプ大統領に対する経済運営の期待でありました。少し前までは、夏前に税制改革が成立する可能性はあったので実現していれば、米国の経済成長率3%台に上がったと思いますし、そうなれば金利も上昇して当然だったとも思いますが、今となっては、その可能性は皆無に等しい状況です。
これまで、年内に税制改革があると踏まえて行動してきている企業や消費者は、行動を変えなければいけない状況にあり、そのリスクを感じ始めていると言うのが経済指標の悪化につながっているのだと思います。

ですが、社会インフラ投資や減税が行われるのは成立していますので、来年、政策の明確化がされれば、マーケットは上昇基調になります。今から恐らく来たるべく調整機関に入ると思いますが、政策成立まで時間が伸びただけであって、今年成立しないということは今年の経済行動を変えなければいけないので調整は当然だとは思いますが、来年と言うのは時期が先送りになっただけですので、再度上昇に転ずると思っています。