株の窓口THE相場勘 ~レーガノミクスのドル円相場~

昨晩の米国は上昇したものの、20000ドルにタッチすることなく、為替が116円台に入ったことから、本日の日経平均株価は輸出関連株を主に売られる形で終えました。

トランプ氏の次期政権が確定して以降、為替の上昇スピードが速く、同時にレーガノミクス(※)を想定するとドル安・円高になるのではないかとの声がマーケット関係者の中であるそうです。
米国大統領選挙活動中には、ドル高になることで輸出が伸び悩むとの考え方からか、トランプ氏は選挙活動中には『ドル高に対する懐疑的な発言』が多く聞かれましたが、現在は為替に対する発言がほとんどないことからも、日本サイドの株式関係者の中には「何か発言があれば、為替が一気に円高方向に進むのではないかと懸念している」人がいるということです。

ですが、トランプ氏は政策を第一に考えているとの声もあり、彼の政策を実行すると実質金利が上がって、ドルが上昇せざるを得ませんし、無理にドル安に持っていこうとしても簡単にはいかないでしょう。また、共和党はどちらかと言うと「強いドルを好む」傾向にあります。

レーガン大統領時代の政策を見ても、初めはドル高であり、そのドル高が行き過ぎたため最終的にプラザ合意(ドル高是正の為の合意事項のこと。1980年代、米国は巨額の財政赤字や高金利を背景にドル高を通じて膨大な貿易赤字が発生。その抑制策として決定されたもの)があったのであって、現在は当時ほどのドル高になっているわけではありません。

また、昨日発表の米国・ISM製造業指数は12月の新規輸出が54.7(予想53.6)と予想を上回りました。新規輸出は11月が52に対し56、新規受注も11月の53に対し60.2といずれも良い数字となっており、この結果を見る限り、ドル高による米国産業の輸出停滞や、米国内の産業停滞というのは感じられません。

これまでの米国の歴史上、経済が強くなる時にはインフレ圧力があり、それを抑えるためにドル高が役立つパターンが多く、そう考えるとこれまでの金利中心の考え方から金利が上がると企業業績が悪化するなどという考え方は必要なくなってくる可能性もあるのではないでしょうか。

確かに、日本のマーケットはドル円の動きに敏感に反応しますし、ドル円により企業業績にも影響がありますが、トランプ氏の政権は未だ始まっておらず、就任後はまずは「内需の拡大」→ 経済効果がなければ「保護貿易」 → 経済効果が無ければ「為替」と考えて良いのでは無いでしょうか。そう考えると、まずは1月20日の就任後の政権のふるい方に注目したいと思います。

ただし、注意しておきたいのは・・・
今現在は期待で上昇しており、実際に政策が行われているわけではないということです。こういうときに限って政策が発表されると、出尽くし感として一旦売られるというパターンがあります。株の窓口では、基本的に今後の方向感は上昇と見ていますが、期待で上昇している時が一番Happyで、現実が見えた時に一度売られてもおかしくないと思っています。

(※)レーガノミクス:レーガン大統領時代に打ち出された政策で
・社会保障支出と軍事支出の拡大により、経済を発展させ、『強いアメリカ』を復活させる
・減税により、労働意欲の向上と貯蓄の増加を促し投資を促進する
・規制を緩和し投資を促進する
・金融政策によりマネーサプライの伸びを抑制して「通貨高」を誘導してインフレ率を低下させる
ということ。トランプ氏が大統領選挙中に掲げていた政策が類似していることからレーガノミクスと呼ばれています。