株の窓口THE相場勘 ~今後のマーケットの注目点~

昨日のNY市場は、全体的に見れば材料難で、経済指標も大きなものの発表はありませんでしたし、決算発表も本格化してないということもあり、小幅な値動きで終わりました。
ただし、NY時間の11時過ぎ頃、トランプJrが公開したメールの中に大統領選挙に関して、クリントン候補に不利に働く可能性のある情報をロシア側から入手しようという動きが確認されたという報道が伝わり、ロシアゲート問題懸念が浮上し、一時、NYダウは100ポイント以上急落する場面もありましたが、内容自体はそれほどスキャンダラスでなかったと言うことで、直ぐに値を戻す動きもありました。

現在、米国マーケットが注目していることは、これから始まる決算は勿論のこと、『ヘルスケア法案』の行方ではないでしょうか。
ヘルスケア法案が経済に与える影響については何とも言えないところではありますが、上院ですんなり可決されるかどうかによって、今後控えている『税制改革』や『インフラ投資』などの大きな経済政策の運命も決まってしまう可能性があり、注目が集まっているのでしょう。

本来であれば、議会は8月に入ると休みに入りますが、昨晩、2週間夏休みを先送りにして、ヘルスケア法案の審議を行う方針を打ち出していますので、8月の半ば、休会前までにヘルスケア法案がまとまるのか否かに、中長期的の関心が集まるものとみられます。

今晩は、イエレンFRB議長の発言があります。昨晩、ブレイナード議員が発言していましたが、BSの縮小に関しては、ほぼ決定と言う事でマーケットは折込にかかっています。
BSの縮小かつ『追加利上げ』を行うかと言うことが、次の注目材料なのでしょうが、最近の高官発言を見る限り、『BSの縮小は行うが、利上げに関しては慎重にならざるを得ない』、特に最近はインフレ圧力の後退が顕著になっており、やはり物価が上昇基調を取り戻さない限り、利上げは難しいのではないかとの見方が今後強まってくると思います。
その点について、イエレン議長がどのような発言を行うかがポイントになってくるのでしょう。

また、原油が最近にぶい動きをしており、原油がしっかりと上昇しないと物価上昇も難しいと市場参加者は見ていると思います。OPECの中にも、減産を免除されているリビアやナイジェリアも生産が回復してきているので、そろそろ制限をかけようという動きがあり、それに反応して買いが集まっている部分もありますが、昨晩発表したエネルギー省の月報では、サウジアラビアの6月の生産量が前月から増えており、ついに昨年決まったOPECの生産枠を超えてしまったことが明らかになりました。

リーダーであるサウジまでが減産を遵守しなくなってきたという部分もありますので、まだ原油価格については懸念が払拭出来ないというところでしょうか。