株の窓口THE相場勘 ~債券市場の見方が正しい可能性~

マーケット関係者が関心を示していたコミーFBI元長官の公聴会内容が事前に内容が公開されましたね。内容自体は、予想通りでしたので、特にサプライズもなく、後は今晩の公聴会で質疑応答を無難に通過するのを待つのみ。公聴会で新たなサプライズが出てくる可能性もないでしょうし、マーケットの反応を見る限り、特に心配をすることもなさそうです。

では、この公聴会が終われば、ロシアゲート問題が一服、つまりはマーケットの嫌う『不確定要素』が取り除かれるということから、マーケットは上昇基調になるのかと言うと、それは違うように思います。
ここ数日間でも米国株式は3指数ともに史上最高値を更新する動きがありました。となると、マーケットはそもそもこの『ロシアゲート問題』を重要視していなかったと言う見方も出来ることから、マーケットの上昇に追い風とはならない可能性の方が高いのではないでしょうか。
(上院の可決が必要な際に、こう言った問題から可決がすんなりいかず、法案成立までに時間がかかるであろう懸念が残っていることに変わりはありません)。

では今後の米国の動きはどうなるか。
押し上げの筆頭となっているのは、アップル・グーグル・アルファベットなどのIT関連株なのは皆さんもご存知かと思います。ですが、マーケットの上昇をする上で、理想的なのは『金融株』の上昇が筆頭に立つことです。
金融と言うのは世の中にお金を回す為に必要なもの。つまりは人間の体に血液を流す役割を果たす心臓が、世の中の金融の働きとも言えると思っているので、今後経済が良好に進むには、金融株の台頭が必要だと考えています。

ですが、最近の相場上昇の影に隠れていますが、米国長期金利が大統領選挙以来、低水準になっており、それに歩調を合わせるように金融株も大統領選以来の低水準を推移しています。米・大統領選以降、金融株が上昇相場を引っ張ってきたことを考えると、最近のこの動きには危うさを感じます。

また、13日・14日のFOMCで利上げが行われる確率が高いにも関わらず、10年債利回りは低下しているのを見ると、債券市場では、『利上げをすべきでない』と見ている投資家が多いのかもしれません。世界中のダブついた資金が、米国10年債に回ってきていることを見ても、多くの投資家が同様の考えのもと動いているとすると、金利の低下には注意が必要でしょう。

これまでも、株の動きと債券・為替の動きが連動していないことはありましたが、ここ数年の流れでは、債券の動きが最終的に正しかったと言えるパターンが多かったのも、頭に入れておきたいところです。

では、FOMCの見立てどおり、6月は利上げを行えるほど、米国経済が良好なのかについてですが、期待インフレ率は一時期は2%越えていましたが、直近では1.7%まで下がってきています。
5月以降の経済指標、特に先行指標が弱いのと、直近で発表のあった雇用統計も予想には届かずでした。これらの結果だけ見ても、5月以降の経済指標からは、後々、「6月の利上げはすべきではなかった」との見方が出てきてしまう可能性も否めないのではないでしょうか。

トランプ大統領が就任したことで、米国に対する『デフレ』の心配をしなくても良いとのことから大きな上昇を見せていたことを考えると、期待インフレ率が1.5%にまで下がるようなことがあれば、米国も『デフレ』脱却が出来ていないとの懸念が台頭してくることも考えられるだけに、『期待インフレ率』の動きに、ここから数ヶ月注目すべきなのではないでしょうか。