株の窓口THE相場勘 ~日銀金融政策の結果と海外投資家~

昨晩の米国市場は、決算発表の内容を反映した相場となりました。
保険会社のトラベラーズやクレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスが公表した4-6月期の決算が減益だったことを受けて、NYダウは軟調に推移。
一方、取引終了後に決算発表を行うマイクロソフトやフェイスブックなどが決算期待から買われ、ナスダックは10日連続での上昇となりました。ナスダックが10日続伸するのは2015年2月ぶり。『素材』・『資本財・サービス』・『エネルギー』などが下落し、『電気通信サービス』・『公益事業』などが上昇しました。

日本のマーケットはと言うと、米国同様、決算を睨んだ展開となり、4-6月期の決算がコンセンサス予想を上回るのではとの見方から、キャノン(7751)の上昇が目立ちました。

本日は週末と言う事もありますので、今週の相場を振り返る意味も含めて、昨日の日銀金融政策決定会合の内容について書こうと思います。

日銀が当分、緩和を続けると意思を見せたことからの安心感から昨日は上昇しましたが、この上昇をどう見るか。個人的にはこの状況での上昇は、楽観的過ぎるように見えるのですが・・・

その理由としては
・2%の物価目標の妥当性に疑問
・長引く緩和政策のコストに対する懸念
・展望リポートでの新たな見通しは軒並み下方修正
・物価見通しに関しては、
18年度・・・9人の政策委員のうち6人が「下振れリスクが大きい」と判断
19年度・・・9人の政策委員のうち8人が「下振れリスクが大きい」と判断
・物価目標達成時期を先送りにするのは今回で6回目(当初の目標達成までの期間の3倍になっている)
ことにあります。

エコノミストの中にも私同様、懐疑的な見方をしている人も多く、
「期間が長引くばかりで、達成できるか不確実な状況の中、緩和にかかるコストが大きすぎるのではないか」
「国債市場の機能低下やマイナス金利の副作用を考慮するとYCC(イールドカーブコントロール)導入から9月で1年になるので、検証が必要ではないか」などとの声も出てきています。
また、現在の日経平均の上昇の下支えとなっている日銀のETF買いに関しても、長く続くと良いことばかりではないとの声も引き続き挙がっています。
この状況を海外投資家がどう判断するか。日本のマーケットが上昇するには、海外投資家の存在が不可欠。
となると、海外から見た日本のマーケットへの見方は無視できず、日本の経済政策に対する不信感が出てきてもおかしくないのではないでしょうか。
この状況下で、唯一の好材料となりうるのは決算発表のサプライズなのかもしれませんね。

と言う事で、今週もお疲れ様でした。良い週末をお過ごし下さい。