株の窓口THE相場勘 ~米・長期金利主導の世界のマーケット~

昨晩の米国市場は、NYダウは続落。内容を見てみると、4-6月期の決算相場が始まり、個別株の動きに左右された形でした。
朝方発表されたゴールドマン・サックスの決算では、一株利益は予想を上回りましたが、トレーディング収入が40%減と大幅に落ち込み、これが嫌気され売りが先行する展開となりました。

他にもトランプ政権に関して、上院がオバマケア代替案に反対する者が出てきたことにより断念したことが伝えられ、下落の原因となりました。

一方で、ハイテク株は、前日の引け後に発表されたネットフリックスの決算を好感し、ハイテク株主導で上昇。ナスダックやS&P500は史上最高値を更新しました。

ハイテク株中心に、ナスダックが切り替えしてきた理由の一つには、長期金利の低下があると思います。最近の傾向として、金利が上がると金融株が買われ、金利が下がるとハイテク株が買われる動きが続いています。
インフレ低迷や、経済指標の悪化、先のイエレンFRB議長の議会証言などにより、利上げのペースが遅くなるのではないかと言う見方が台頭してきたところに、金利の低下傾向が強まってきましたので、このことがハイテク株を中心に株価の下支えになっていると言うことがあるのかもしれません。

早ければ9月にはFRBがバランスシートの縮小を始めるという動きに関しては規定路線になっているとの見方がありますが、このことはほぼ織り込み済みとなっており、縮小した場合、更なる利上げは難しいのではないかと言う見方がマーケットでは広まってきています。

暫くは米・長期金利の動きに連動した、こうした動きが続くものと思います。

原油に関しては、ドル安が現在の上昇に寄与しているのだと思いますが、来週にはロシアにて、OPECと非OPECの産油国が会合を開きますので、今減産を免除されているリビアやナイジェリアに対し、生産回復に制限を加える話が出るのではないかと言う観測も、買いを呼び込む一因となっていると思います。
ですが、リビアやナイジェリアが簡単に納得するとは思えませんし、サウジ自体が生産を増やし始めており、OPECの減産遵守率が低下しているということを考えると、ロシアなどの非OPEC諸国とOPECとの協力関係にヒビが入る懸念も残っており、私個人的には、まだまだ原油価格に関しては弱気に受け止めておくべきではないかと見ています。

日本では日銀金融政策決定会合が明日まで開催されますが、現状維持の見方が台頭しており、特に今回はサプライズも期待できないことから、日本株に関しても同様の動きが見られるものと思います。決算発表が本格化するまでは、米・長期金利を睨みつつ、米国の決算動向に連動した動きになるのではないかと見ています。