株の窓口THE相場勘 ~米国は経済政策懸念織込済み?~

昨晩、NYダウは22000ドルを超えてきました。
順調な上昇の背景にあるのは企業業績。ここ2週間あまり、ナスダックなどはほぼ横ばいの中、NYダウ高値更新の背景には、昨晩のアップルの動きに見られる様に、日替わりで好業績発表により、ダウを牽引する銘柄が出てきていることにあり、ファンダメンタルズ的に強い上昇となっています。

キャタピラー・マクドナルド・ボーイング・アップルとNYダウ構成銘柄が予想を上回る決算を発表したことでNYダウを押し上げているパターンが続いているのですが、一方でNY市場の先行指標である輸送株指数が200日移動平均線辺りまで下がってきており、必ずしも先高期待感を反映しているとはとれない形になっていることが気にかかります。

今年に入って相場を牽引してきたハイテク株が、ここ最近は冴えません。決算も出揃い、夏休みの間は動意が薄いことを見越しての動きなのでしょう。また長期金利においても弱い状況が続いていますので、必ずしも全体が強いと言い切れないとは思いますが、ダウの採用銘柄の決算が、ボーイングやキャタピラーなどの期待が薄かった銘柄にサプライズ決算が出たことで、セクターローテーションや銘柄ローテーションが行われているとも取れるでしょう。

これまでのところS&P500採用銘柄のうち約7割が決算結果予想数字を上回っていたようですが、大型株以外の銘柄に関しては上方修正をしたにも関わらず、上がっていない銘柄も見られます。夏休みと言う事で、参加している投資家が少ない中なので、決算のみ良くても景気良く上がるわけではない状況であり、まだ8月に入ったばかりで、ここ最近の8月は年間を通してみても、かなり弱い時期でもありますので、この上昇相場が8月の終わりまで続くかと言うのは見ものかもしれませんね。

トランプ大統領の経済政策の成立の時期がまだ見えず、今年成立するかどうかは50/50であり、今年成立しないとなると押す場面がくるのではないかと思っているのですが、直近の米国マーケットの動きを見ていると、『いずれ成立することを見込んだ動き』となっており、経済政策や経済指標に反応しない状況になってきている可能性もあるのかもしれません。

投資家が少ない夏に、経済政策懸念が広まってくることで相場が下落する可能性があると見ていましたが、今のところその懸念はマーケットには見られません。

減税の財源として考えられているオバマケア代替案自体、不透明感が強まっていますし、成立するまでの道のりはかなり遠いように思えます。マーケットが『いずれ成立するから』と今現在の経済政策についての不透明感を織り込んだ形で上昇しているのか、または、秋に議会が集まってから、経済政策懸念が織り込まれ始めるのか、今はどちらとも言えない状況なのですが、そう言った中、好業績が発表されるので、業績が株価を下支えしているのでしょう。

米国の好業績の背景には、昨年、米大統領選挙を前に、企業活動を控えていたことの反動もあるでしょう。好決算が、どこまで米国株価を下支えするか、この動きはしっかりと見ておきたいですね。