株の窓口THE相場勘 ~米国・押し目待ちに押し目なし?~

昨晩の米国は3指数揃って最高値更新。マーケットでは、『これだけ長く上昇を続けているので、どこかで押し目があるだろう』との声が多く聞かれます。

直近のところでは、北朝鮮のミサイル問題があり、ハリケーンも過去最大級のものが2つあり、それをこなしても下げ率はたいしたことがなかったとの見方が支配的になってきており、何があったら下がるのか・・・とあきらめムードが台頭してきているのかもしれません。

そういった中、マーケットの最大の注目を集めているのが米国の『税制改革』ですよね。ムニューシン財務長官は、当初8月までと言っていましたが、年内と言い直しています。ただ、担当のムニューシン財務長官がそう言うということは、「年内でも楽観的」と見ざるを得ないのだと思うのですが、最近のマーケットの反応を見ると、『今年なければ、来年にはあるだろう』とより楽観的な見方になっているように思えます。

トランプ大統領が就任してから、ずっと減税期待が強く、年内に行われると見ていた米国の人達は、減税を見越した生活行動を行っていた人も多くいると見られます。
米国の経済指標が今年前半良かったこともその表れではないかと思っていますので、もし減税が年内には行われないと判断された場合、米国民の消費行動が変わる→経済指標が一時的に悪化→一時的に米国株にショックが起きてもおかしくないというシナリオもまだ残っていると思っていますが・・・
このことをマーケットが気にしていないのが不思議だとも思っています。

確かに税制改革が年内に行われなかったとしても、来年の中間選挙前までには行われるでしょうから、企業の業績については後連れするだけで株価には影響が無いと見られる方もいるかもしれませんが、個人の行動は変わるはずだと思っています。

直近でました生産者物価指数は決して良い数字ではなく、これは8月25日までの集計で、8月30日に最初の大型ハリケーン、9月に再度大型のハリケーンが来たことで、ハリケーンと消費者動向・物価動向に関連が出てくるのか・・・気になるところです。
もともと、夏の指標はぶれやすく当てにならないとの見方が支配的になっています。
今晩はCPI、明日は小売売上げ高の発表があります。
大型のハリケーンの影響でぶれる可能性もあるのですが、復興需要もあると思うと、暫く米経済指標はチェックしていく必要がありそうですね。

また、トランプ大統領が共和党に対して、減税等の法案成立に対して動くよう発破をかけたことや、債務上限の引き上げに関して民主党との合意がありましたが、法案成立に関しても民主党との合意を意図していると伝えられています。
トランプ大統領自体、民主党と話をした方が早い、共和党の保守派と話していたところで、票が足りないので、民主党にある程度妥協し、賛成票を取ってくる方が早いという戦略に変えつつあるようです。
共和党の保守派からすると不満でしょうし、トランプ大統領は本当に共和党なのかとの言われているほどですが、減税法案の成立に関しては民主党から賛成票が得られるのであれば早いかもしれません。

こういったトランプ大統領の動きが、税制改革への期待感につながっているとも思いますが、米国が上昇を続けば続くほど、押し目を待っている投資家が待機している状態であることも、米国上昇を支えている一つなのかもしれません。少しでも押すと、買いたい人が待っている・・・となると米国株は押し目らしい押し目を形成しない可能性もあるのかもしれません。