株の窓口THE相場勘 ~米国・減税について~

昨晩も米国は3指数揃って高値を更新。
特に大きな材料はなかったものの、ISM非製造業景況指数が予想を上回ったこと、これまで辞任の噂が出ていたティラーソン国務長官がトランプ政権に残る意思を示したことなどが買い材料となったようです。

ISMの非製造業景況指数は予想55.5に対し結果は59.8と大きく予想を上回る結果となりました。ISM非製造業景況指数は『景況感指数』。つまりは企業の購買担当者への聞き取り調査の結果であり、景気で言うと『気』の部分。今のように株価が何度も高値を更新している状況下では、ある程度当然のような気もします。
実際の景気に関してはどうなのかと言うと、まだ回復基調がそれほどでもありません。
週末発表の雇用統計に関しても、ハリケーンの影響で伸び悩むと見られています。
実際の経済が今の景況感・市場心理についてくるかどうかが今後の鍵を握っているとも言えるのではないでしょうか。

一方、市場が最も期待している『減税』の行方が気になるところではありますが、通常、減税はなかなか審議が進まないものです。レーガン大統領の時もそうでしたが、かなりの時間をかけてまとめていくものですので、普通に考えると年内成立は簡単ではないと思います。現在政権から出ている草案を見ても、ほとんど具体的な内容が揃っていない状況です。
成立を早める方向に進むのであれば、妥協をするためにチープな内容のものになる可能性もあり、今の市場の期待は高すぎるように思えます。大型減税を進めるのであれば、審議に時間がかかるでしょうし、年内成立を目指すのであれば内容が期待はずれになる可能性も否めないだけに、時間が経つにつれ期待がはがれていく可能性もあるのではないでしょうか。

地合自体は本当に強いのは確かですが、北朝鮮問題や減税法案の行方など懸念があるのも事実です。減税法案が決まらなければ、期待が膨らむ一方で更なる上昇もあるかもしれませんが、逆に減税法案が進んで、内容が期待はずれになるようなことがあれば、価格調整もあり得ると見ており、米国は暫くおっかなびっくりの買いが優勢に進む形が続きそうです。