株の窓口THE相場勘 ~米国株式下落とWTI上昇について~

連休明けの米国市場ですが、週末に北朝鮮が核実験を行ったことで地政学リスクが一気に高まり、嫌気した売り優勢となりました。
週末に発表のあった雇用統計の内容は、あまり良いものではなかったことでFRBの利上げ観測が後退したことで買いが集まっていましたが、北朝鮮リスクが高まったことで全面的に売りの展開となりました。

また直近のところで、ハリケーン『ハービー』がテキサス州に大洪水を起こしましたが、それよりも更に勢力の強い『イルマ』がメキシコ湾に向かって進んでいることで、新たな被害がでるのではないかという懸念も株式市場には重しになったようです。

FRBの高官の間でも金融政策に対する意見表明が行われています。
昨晩もブレーナード理事が『追加の引き締めに関しては慎重になるべきだ』とコメントしてますし、もともとハト派であった高官が、ここに来てハト派な意見を述べ始めたということかもしれません。
ですが私は今のインフレが低迷している状況で追加利上げは行われないと思いますし、昨晩のように株価の下落が続けば、FRBも配慮せざるを得ず、バランスシートの縮小すら先延ばしせざるを得ない可能性もあるのではないかと見ています。

新たにハリケーン『イルマ』が接近していると伝えられている中、昨晩はWTIが切り返してきていますが、原油価格については需給関係で正確に見通しを立てることが難しい状況にあります。
ハリケーンもメキシコ湾の生産施設での原油生産自体が減少してしまうと言う強気な意見と、精油所が洪水によって稼動を停止してしまい、原油の消費自体が行われなくなり、原油が使われなくなると言う弱気な見方もあり見通しが交錯しています。更にはOPECの動向も不透明です。昨晩WTI価格が上昇したのはドル安の影響が大きいのではないでしょうか。
ドルの動きに暫くは左右される展開になるかもしれません。