株の窓口THE相場勘 ~ECBの緩和縮小について~

昨晩はECBの緩和縮小の詳細が決定しました。

事前の予想が

・月の債券購入額を600億ユーロから300億ユーロ

・2018年9月まで期間の延長

でしたので、予想通りの内容だったと思います。これによる影響はどうなのか。ドイツのアナリストによると、2015年に始まったECB量的緩和(QE)は現在国債の純発行額の約7倍にものぼります。FRBの買入れは国債の純発行額を上回ったことはありませんし、日銀では純発行額の3倍程度ですから、ECBのQEがFRBや日銀と比べて規模の大きさが伺えると思います。

その分、ECBの緩和縮小が引き起こす市場への影響も大きくなる可能性があるのではないでしょうか。FRBに習ったかたちで、ECBも緩和縮小に関して事前にアナウンスし入念に準備を行っているのは分かりますが、規模の大きさが桁違いなだけに、混乱を招く可能性は否めません。

緩和縮小することで、インフレ圧力を抑えるのに効果的と言われていますが、ユーロ圏でインフレ圧力が高まっているのは、現状ではドイツと北欧諸国のみ。南欧の経済に関しては、日本と同じくECBの緩和政策による金利低下の恩恵を受けて好調に推移している状況です。今の日本の状況で緩和が縮小されれば懸念が残る以上に、ECBの緩和が縮小されれば、南欧が金利上昇に耐えられるのか懸念が残ります。

ドイツは過去にハイパーインフレを経験していることから、インフレを嫌う傾向にあり、緩和縮小には積極的ですが、来年1月からの緩和縮小がリスク要因になる可能性があると見ています。