株の窓口THE相場勘 ~トランプ大統領の動きと日本の決算発表~

昨晩のNYダウは上昇、ナスダックは高値更新。トランプ大統領が、カナダから米国に石油パイプライン建設を推進する大統領令に署名したことで、政策として掲げていたインフラ投資が垣間見れたということからか、昨晩は安心感が広がったようです。パイプラインの建設によって、建設部門で2万8000人の雇用が産み出される可能性があるとしました。
ただし、2014年国務省の報告では建設関連3900人、常勤職35人でしたのでトランプ大統領の見解とは大きな相違があります。同時に、パイプライン建設に使用する鉄鋼製品に関しては米国製品を利用する必要があるという大統領令にも署名しています。

これを受けての日経平均は大幅に上昇しましたが、まだ一方通行に上昇のみを考えるのは時期尚早に思えます。

昨日は大統領令に署名したのみでなく、米国の自動車メーカー3社の経営トップと会談し、その中でフォードのCEOは「あらゆる貿易障壁の根源は為替」だとし『ドル高の是正』を求めたと伝わっています。 “株の窓口THE相場勘 ~トランプ大統領の動きと日本の決算発表~” の続きを読む

株の窓口THE相場勘 ~TPP離脱により日本の予算1兆1900億円損失~

昨晩、トランプ米大統領は公約していた通り、TPPからの離脱に大統領署名しました。着々と選挙期間中の公約を進めているようです。

TPPの脱退が正式に決まったことで、日本は米国との二国間協定(FTA)に方向転換するしかなくなったわけですが、この決定で多大なる税金の損失があったことをご存知ですか?日本政府はこれまでTPP対策として2015年から2016年で1兆1900億円もの予算(税金)が使われていたと見られています。その内訳は下記の通りです。

2015年補正予算 計4875億円
■海外展開先のビジネス環境整備 223億円
■ブランド化などの強化 1053億円
■攻めの農林水産業への転換 3122億円

2016年当初予算 計1582億円
■コンテンツ・技術などの輸出促進 131億円
■企業間連携等による生産性向上促進 245億円
■食の安全・安心 29億円
2016年補正予算 計5449億円
■新たな市場開拓支援等 853億円
■ブランド化などの強化 907億円
■攻めの農林水産業への転換 3453億円

合計1兆1906円 ※格府省提出の予算額をTPP政府対策本部が集計

これらの予算消化について、内閣官房TPP政府対策本部の担当者は「適切に執行されている」と説明していましたので、昨晩のトランプ大統領の署名により無駄になったことになりますね・・・ “株の窓口THE相場勘 ~TPP離脱により日本の予算1兆1900億円損失~” の続きを読む

株の窓口THE相場勘 ~NAFTA・メキシコとの再交渉の行方~

週末のトランプ大統領の就任演説を受けて、NYダウはプラスで終わったのも束の間、演説終了とほぼ同時にホワイトハウスの発表を受けて為替は円高方向へ・・・

演説でもTwitterでも言っている「BUY AMERICAN」(アメリカ製品を買いなさい)という言葉が気になります。ホワイトハウスの発表でもTPPの完全撤退を発表していますし、NAFTAの再交渉を進める方針や、カナダとメキシコが再交渉に応じなければ、NAFTA離脱とまで発表しています。

一般教書演説までは、どういった政策を出してくるのか具体的なことは分からないまでも、トランプ大統領が「米国第一主義・保護主義」なのがハッキリしました。まずはメキシコとの交渉を見極める必要がありそうですね。

トランプ大統領は、「メキシコに工場を移転すれば、メキシコからの輸入品に35%の関税をかける」と言っていました。米国のメキシコ向け貿易赤字の額は2015年で606億ドル。これは米国の貿易赤字のうち8.1%になります。(日本は9.2%) “株の窓口THE相場勘 ~NAFTA・メキシコとの再交渉の行方~” の続きを読む

株の窓口THE相場勘 ~日銀のETF買い~

本日の日経平均は様子見ムードが強い一日でした。いよいよ今晩、トランプ氏の就任演説が行われます。昨日の「株の窓口THE相場勘」を読んで頂いた方は想像できるかとは思いますが(参照;昨日の株の窓口THE相場勘はこちら)通常通りであれば、政策についてトランプ氏の意思を聞けるのは今月末の一般教書演説になるかと思います。

ですが、自身のtwitterや1月11日の会見でも、私たちからすると『まさに外国の方!』と思わされるような、思ったことを口にされる方ですから、どんな就任式になるか楽しみでもあります。

さて、昨晩は欧州も米国も下げて終わっています。今年に入ってから、海外が下げても日本はさほど下がらないというような日も出てきています。その影には少なからず「日銀のETF買い」が関係していると言って良いかと思います。 “株の窓口THE相場勘 ~日銀のETF買い~” の続きを読む

株の窓口THE相場勘 ~米国大統領に出来ること~

昨晩は米国金利が上昇したことを受け、再びドル買い円売りの動きが高まり、前日112円を付けていたドル円が114円まで戻してきました。米国市場では、注目されていたゴールドマン・サックスの決算が大変良いものでしたが、今までの上昇に対する警戒感や、同日に発表されたシティの決算が悪く、NYダウは上値を抑えられた形で終えました。

今週末にはトランプ次期大統領の就任式も控えており、ここからしばらくは上にも下にも動きづらい展開になるかもしれません。実際に過去の大統領就任式前後を見てみると、米国株価は足踏み傾向にあるので、今回も例外ではないのではないでしょうか。

トランプ氏が米国大統領に就任することで政策が始まる、大統領の一声で米国の政策が始まると言うようなニュアンスの報道が目に付きますが、米国のことを調べると、そんなに簡単ではありません。米国大統領の権限で行えることというのは
・軍隊の統帥権(最高指揮権)
・一般教書演説を行うことが出来る
・議会が決めた法案に対する拒否権
です。議会が決めた法案に対する拒否権にしても、実際オバマ大統領が拒否権を行使した際に、大統領拒否権が拒否されたことは、皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。 “株の窓口THE相場勘 ~米国大統領に出来ること~” の続きを読む

株の窓口THE相場勘 ~メキシコでの自動車生産~

本日の日経平均は久しぶりにボラの高い一日でしたが、個人投資家の皆様は振らされなかったでしょうか・・・

相変わらず、為替にらみの展開が続いておりますが、昨晩は為替の動きを大きく左右すると言っても良い発言がありました。
まず最初に出てきたのは、トランプ次期米政権顧問・スカラムッチ氏がドル高進行のリスクについて警告し、トランプ次期大統領の公約の実現が、通貨の上昇により困難になることを指摘。
その後、米国経済紙のインタビューでトランプ氏が「ドルが高すぎて米企業が競争できない」とドル高に警告。保護主義傾向が強いトランプ氏が、ドル安政策をとるのではないか、ドル高について言及するのではないかとの観測は11日の会見前から市場で不安視する声が出ていましたが、ついに出てしまった・・・と言うことでしょうか。 “株の窓口THE相場勘 ~メキシコでの自動車生産~” の続きを読む

株の窓口THE相場勘 ~海外ヘッジファンドの動きに変化?!~

本日の日経平均は、今晩予定されている英国・メイ首相のEU離脱に関する演説を控えてリスクを意識した市場参加者が増えたからか、ボラが大きく軟調に推移しました。

ですが、大きく下げた要因には外国人投資家の動きが深く関係しているように思います。
トランプ氏が米大統領選に当選した11月より
「米金利上昇 → 円安・ドル高 → 日本株上昇」との見方から先物買いを続けてきた海外ヘッジファンドの動きに変化が出てきた可能性があります。

昨日(16日)に大阪取引所が公表した証券会社別の先物手口を見ると、JPモルガン証券やゴールドマン・サックスなどが日経平均先物3月物を大幅に売り越しています。本日の日経平均先物の動きを見ていても、同様の動きが続いていたのではないかと推測します。

また1月6日時点の裁定買い残は4週間ぶりに減少。年明け以降の日経平均先物の手口を集計すると、メリルリンチ、UBS、クレディ・スイス、BNPパリバなどが売り越しに転じています。 “株の窓口THE相場勘 ~海外ヘッジファンドの動きに変化?!~” の続きを読む

株の窓口THE相場勘 ~週末のトランプ氏のTwitter~

今晩はNY市場がお休みと言うこともあり、日経平均は様子見ムードも高まってか軟調に推移しました。いよいよ今週末にトランプ氏の就任式を迎えることもあり、NY・日経ともに一旦は利益確定をし、トランプ氏の出方を伺いたいという投資家が増えてきているのかもしれません。

トランプ氏のTwitterでは相変わらず報道機関に対する批判的なツィートが多いように見えますが、就任後に何か発言することを匂わせているツィートもあります。

15日には
「Inauguration Day is turning out to be even bigger than expected. January 20th, Washington D.C. Have fun!」
(就任式の日には予想以上に大きなことが明らかになる。1月20日のワシントンDCをお楽しみに)
と言っていますし、

本日も
「For many years our country has been divided, angry and untrusting. Many say it will never change, the hatred is too deep. IT WILL CHANGE!!!!」
(何年もの間、我が国は分裂し、怒りや不信感を抱いている。多くの人は、憎しみが深すぎて、このことは決して変わらないと言う。変わります!!!)
と発言しています。 “株の窓口THE相場勘 ~週末のトランプ氏のTwitter~” の続きを読む

株の窓口THE相場勘 ~ドル不足?!~

トランプ氏の会見から円高ドル安の動きが続いており、昨日は引け後に113.73円まで下落。ここから暫くは調整が続くのかと見られていましたが、本日、再びドル高円安の動きになりました。

一気に115円を割った反動との意見もありますが、気になるニュースがもう一つ・・・
それが「ドル不足」です。
これまでも英国のEU離脱問題の際や、リーマンショックの際に、「ドル不足」について言われたことがあります。簡単に言うと、国際金融市場でアメリカドルの需要が高すぎて、供給が追いつかなくなることです。

日本では現在、マイナス金利政策の影響で、銀行などは積極的に外貨建て資産への投資を増やしていると言われています。為替変動リスクを避けられるということから、「ベーシススワップ」(円とドルを一定期間交換する手法)を利用している日本の大手銀行や生命保険会社、機関投資家らが、今回のドル不足を懸念してドル資金の調達に動いた可能性があるそうです。これによりドル高円安の動きに再び変わったとの声もあります。 “株の窓口THE相場勘 ~ドル不足?!~” の続きを読む

株の窓口THE相場勘 ~トランプ氏記者会見の内容~

夜中1:00からのトランプ氏記者会見の内容をチェックしていて寝不足気味ではありますが、皆さんは大丈夫ですか?もちろん朝からの報道でチェックされている方も多いかとは思いますが、ところどころピックアップされた内容で、全貌を知りたいと言う方もいますよね?細かな政策などについて言及することは無かったものの、今後の米国、日本のマーケットを見ていく上で関係してきますので、本日は会見内容をまとめようと思います。

■『偽りのニュースを吹聴しているとして記者団を猛烈に非難』
ロシアが同氏に不利な情報を収集していたなどとの報道に対し、裏付けのない情報が流れたとして「ここまで偽りの情報が流出するのを情報機関が許したのは、極めて不名誉なことだ。ナチス・ドイツがやったことと一緒だ」と述べた。

■『私は最も多くの雇用を生み出す大統領になる』
これまでtwitterを通して、メキシコに生産拠点を置く自動車メーカーが米国内の雇用を奪っていると発言していましたが、
「大手自動車メーカー、フォードがメキシコへの工場の移転計画を撤回した。フォードに感謝したい。大手自動車メーカー、GM=ゼネラル・モーターズもフォードなどの動きに続くことに期待している。米国を離れ、好き勝手に振る舞う企業には多額の国境税が課されるだろう。ミシガンやオハイオなど私が選挙で勝利した場所でメキシコなどの外国に工場を移転するために従業員をすべて解雇するようなことはさせない。おとがめなしで海外移転しようとする企業には高い関税をかける」と述べました。
さらに、海外移転しようとする企業に対しては、
「国内にも競争力があり移転可能な場所はたくさんある。ミシガンからテネシーなどに移転すればいい。私は何も競争力を奪おうとしているわけではない」
と生産拠点の移転はアメリカ国内ですべきだという考えを強調した。 “株の窓口THE相場勘 ~トランプ氏記者会見の内容~” の続きを読む